Homage 高倉健 ー 手術台の上の花とドラゴン
高倉健と火野葦平の小説「花と龍」がタイトルに掲げられたこの展覧会は、北九州に縁のある人物や 場所・事項を主題として設定し、とりわけ関連を持たないアーティストに、制約なしに主題を解釈するよう 出品を依頼したものである。
出品作品・作家
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青木野枝
青木野枝は2010年、npo創を考える会・北九州企画の「街じゅうアートin北九州」に参加、8月〜9月の
3週間、北九州に滞在、市内の鉄工所で制作した『蒸気管 Steam Trachea』は展覧会期中(2010.9.18-
10.31)、門司赤煉瓦プレイス(旧サッポロビール醸造棟)に展示された。 |
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狩野哲郎
狩野哲郎は「自然の設計」というコンセプトによって野外や室内空間全体をつかったインスタレーションを
展開、関連のドローイングを壁面に展示する。青森のアーティスト・イン・レジデンスに滞在中の狩野に今
展のためのドローイング出品を依頼、額装作品の配置を指示する写真とともに送られてきたもの。配置はお
そらく龍のかたち、イメージは狩野の他のドローイング作品にも共通するものでもあるが、植物や龍の形態
が認められる。 |
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祐成勝枝 視えないお花畑のスペース。Art Front Galleryでの個展「庭 My Garden」(2011.1.18 - 2.6) に出品した新作絵画シリーズからインスピレーションが拡がり、この展覧会のための立体作品となった。 |
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祐成政徳 大規模な立体作品の組合せからなる祐成政徳のインスタレーションでは、たびたび異空間の架け橋 Bridgeが表現される。空間のつなぎ目や境界は祐成の視線が向かうところである。今展では「ミシ ンと蝙蝠傘 / 花とドラゴン」という異質な世界に架ける橋として”Bridge”が登場した。 |
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鈴木淳
高倉健主演映画のスチール写真約200枚のコレクション。 |
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武内貴子 2011年3月、九州新幹線開通を記念して、博多阪急/ARTCUBEに展示された”Swelling of Cherry Blossoms”がもとになる作品である。メロンのような刻みが無数に入った帯は折りたためば箱のかたちに おさまるものという。展示期間終了後のオープンに合わせて、動物病院で使われていたケースに、 「昇り龍のかたちをした花」をイメージして再インスタレーションされた。 |
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多田友充 一見主題などない気ままなドローイングと見える多田友充の作品には、文学や哲学、宗教の逸話などからインスピレーションが生まれたものも見受けられる。高倉健も火野葦平も、これまで多田の関心外にあったが、文献や主演映画の資料リサーチによって「任侠」のイメージを膨らませた。いつになく熱い表現のこの3部作では多田のイメージの飛躍が感じられる。 |
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中崎透
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中ザワヒデキ
「『方法主義』の活動で知られる美術家の中ザワヒデキは、1980年代に初期アクリル絵画群を制作した
のち、1990年から7年間、日本初のヘタうま・ CGイラストレーターとして多産な活動を繰り広げていま
した。コンピューターがまだ有り難かった時代に果敢にもそれをオチョクった脱力系の作風は「バカ CG」
と呼ばれて人気を博し、関係各界に大きなインパクトを与えましたが、1997年には作家が美術家へ転進し、
活動は封印されました。」(上記リンク先からの引用) |
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濱田富貴 濱田富貴の祖父は、火野葦平の盟友にして詩人の劉寒吉(1906-1986 )。展覧会の主題に火野葦平「花と龍」が掲げられていたことから出品を依頼し、ギャラリーなつかでの個展(2011.5.16−5.28)をひかえて制作中であった銅版画を出品いただいた。作品は植物の種子や花芯を細密に描写したものだが、昇り龍にも似た雄々しい生命力を湛える。 |
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三田村光土里 メルボルンのモナッシュ大学アーティスト・イン・レジデンスに参加のため出国直前だった三田村光土里は、この展覧会のために2008年の作品を出品、様々な花や花柄、動物たちが登場する映像作品。会場ではDVDからの、三田村自身が口ずさむ「ロンドン橋」の歌が繰り返し聞こえていた。 |
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横溝美由紀 仏教の法要で、仏や阿弥陀を迎えるために花を撒き散らし供養する散華という故事に因んだ作品である。流される花弁は、龍の鱗にも似て、その姿は川を昇る龍に譬えられた。ここではミシンから縫い出されたかのような花弁/龍鱗となって舟型の浮島を形成している。カラフルな花弁は横溝の初期作品、石鹸のオブジェやインスタレーションを思い出させる。 |
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吉田榘子 版画表現の可能性を広域に探る吉田榘子は、銅版画の製版にもコンピュータを使用することがある。 この作品では、高倉健の肖像写真や主演映画「花と龍」の映画ポスターをコンピュータに取込み画像処 理を加えた。抽象的なパターンのように見える形のなかに、肉眼では決して見えない高倉健のイメージが 潜んでいる。密やかな高倉健讃歌である。 |
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Hyper Originality II 架空の街、東鉄町番外地にて架空の祭 Flower & Dragon Festivalが開催され、高倉健の映画が上映されるという設定。祭につきものの籤引きでは当たりくじを引いた来場者にうちわが配られる。 Hyper oroginalityIIは1989年結成(第一次Hyper Originality)されたアーティスト・ユニットで、この展覧会を機にHOIIとして活動が再開された。 |