6月14日から開催中の友清ちさと個展「ORANGE DIFFUSION トモキヨは香りばら撒く」をご案内します。
今展では近年トモキヨがオレンジ・シリーズと名付けた、柑橘の皮をに関する作品を展示します。また山川みかんの皮から作った芳香蒸留水をディフューザーで拡散させたり、別府産カボスの皮を使い蒸留器を会期中不定期に稼働させる予定です。これらは、近隣でのトモキヨの新しい活動と併せて、オープンスタジオやワークショップとして随時公開します。
ディフューザーから立ち上るオレンジの光と蒸気が際立って見えるように、会場には暗闇がしつらえてあります。その闇の中いたるところに友清の作品がばら撒かれているのです。モニターが映し出す言葉は「光の中で金をばら撒くより暗闇の中で好奇心をばら撒くほうがいい」というもの。前室にかけられたドローイングにも見えるこのイメージは、ヘレン・ケラーの「光の中を1人で歩むよりも、闇の中を友人とともに歩む方がいい」という言葉に敬慕を込めて流用された友清の新作です。
オレンジや柑橘という素材はある種、媒介となって、皮を集めるという行為をとおして人々と交歓し意思を伝達し合うという密かなねらいに繋がります。今回の展覧会でも、来場者や地域の人々との対話を通じて、これまでのオレンジ+柑橘にまつわる話題が他の領域へとさらに拡散する機会となるでしょう。抱樸館はOperation Tableの超近隣施設ですが、その入所の方々と交流したり共同制作に挑む計画もあります。また2023年まで滞在していたドイツでは地域の人々との共同制作として壁画を発表しましたが、当地にも現存しないその再制作(公開)も構想中です。
会場ではこれらの取り組みが進行するにつれ、展示の様子も変化していくことになります。どうぞ暗闇の会場へ好奇心を拾い集めにいらしてください。
会期:2024.6.14 FRI.ー7.28 SUN. 金土日 11:00-18:00 月~木は(7/15・祝も)前日までに予約TEL;090-7384-8169 email; info@operation-table.com
会場:Operation Table 805-0027 北九州市八幡東区東鉄町8-18
https://www.operation-table.com/
公益財団法人北九州市活性化協議会1000人の夢基金助成
会期中イベント
2024.6.15 SAT. 15:00~16:30 トモキヨ ア-ティスト・トーク *終了しました。
参加料 1,000円(ドリンク+α付)
2024.7.28 SUN. 15:00~16:30トモキヨ パフォーマンス+クロージング・トーク
参加料 1,000円(ドリンク+α付)
(会期中ときどきオープンスタジオやっています)
6月23日(日) 15:00 上映会を開催しました。
友清ちさと《Rely on a process希望の樹(九州芸文館成果展仮編集Ver)》
2024年 デジタル52分
映像作品について
友清ちさと
友清ちさとは10 月中旬より旧上庄レジデンスプログラムに参加し、のべ3ヶ月福岡県みやま市で、スタジオとなる廃校の校庭を拠点とし、地域の方を招いた焚き火会、特産品の山川みかんの皮を使ったアロマを蒸留をした。人口減少が進む地域で、高齢の方や精神的な病や困などをきっかけに訪問看護を利用している皆さんを含めた近隣住民が部分的に関わっている。立ちあらわれた地域の人々の想いや交流、波紋のような目に見えにくいものを映像に留めようとした。精油作りと焚き火開催の二つの活動は看護師さんとの対話と一人の利用者さんの絵から生まれた“希望の樹”というキーワードで交わり、焚き火の灰や炭、アロマ精製で残った柑橘の皮のごみを堆肥にし、みかんの木を育てられないかという想いに繋がっていく。作品はこの活動の過程を成果展に合わせ記録したのもの。
訪問型看護施設Reafみやま出張所の皆さんとの関わりでは、蒸留所見学を経て、アロマ精製をしながら精神療法WRAPにちなみ短冊に”希望”について書く。ここで言う希望とは、ハマるものや生きがい、元気が出るもの、自分を後押ししてくれるもの。看護師さん自身もハマるものを自身のケアに役立てそれがケアの質を上げると語ってくれた。一人の利用者の絵を原画に壁画を皆で描く。一方で連日行う焚き火では火を見つめたり、食べたり、時にはオープンダイアローグをし、高齢の方も含めながら人口減少したこの地域の課題や孤独などについてそれぞれの思いを語った。参加者から後に持ち込みコンサートの依頼が来るなどして、制作をサポートしてくれる地域の高齢の方などのハマるものや生きがいも聞き、ケアの連鎖に想いを馳せた。
利用者さんと訪問看護Reafグループとの関わりでは看護の資源の枠の中で、利用者が精神的な病やその他の困難で起こる体調不良についても尊重しながら関わることの困難を作家は感じつつも自発性を待つことで制作は思うよう進まず、作家自身苦悩するが、焚き火で交流した地域の高齢の方―みやま市の図書館職員、旧上庄小学校校区会長、元教員などはそれぞれ作家を積極的に助けた。プロジェクトに関わった人がそれぞれの立場からそれぞれの人を支える行為が呼応し合う、生の喜びの根源に迫る、印象的な出会いがあった。