澤登恭子 春の嵐
2019.3.3 Sun.-5.6 Mon.
11:00-18:00 土日のみオープン
平日は予約制 (ただし4/29~5/6のGWは連日要予約)
Tel;090-7384-8169 e-mail info@operation-table.com
春の訪れとともにOperation Tableの甕覗色=みずいろの空間がピンクの花びらでおおわれます。澤登恭子の展覧会「春の嵐」です。手術台や薬品棚や床に散らばる桜の花びらは、さくら色に染められたワックスでできたもの、すべて澤登の手になるものです。
澤登は東京藝術大学大学院を修了した2000年以後、CAS大阪(Contemporary Art and Spirit)や水戸芸術館現代美術センター・クリテリオムの個展ほか、アサヒビール大山崎山荘美術館、広島市現代美術館でのグループ展などに参加してきました。自身の身体を媒介として、社会や宗教の歴史が強要する女性像に抗う意図を示す挑発的な、ときに過激な作品で知られています。
山口に居住地を移して以降は、山口や北九州を拠点に活動していますが、昨年11月に山口市の山口県旧県会議事堂を舞台に2日間だけ開かれた個展「ロンド~繰り返し見る夢の続き」は、これまでの作品を集大成した「夢のように現うつつのように 繰り返しては何度も現れる幻影 まぼろし夢の断片を繋ぎ合せて紡いだ作品集」となりました。重厚な議員会議室の広い一室が夜の遊園地の映像によって光と幻影に乗っ取られ、権力の象徴が夢のように軽やかに回転していく光景は、観る者をうっとりさせながら、場所の意味を連想し冷笑も誘ったものでした。
http://www.kyoko-sawanobori.com/
澤登のOperation Table登場は、パートナーの中野良寿と組んだ展覧会「甕覗の鏡」以来です。
http://operation-table.com/kame.html
今回の「春の嵐」では平成から新しい元号へと変わる5月を前に、「女性のチカラで嵐を起こしてゆく時代を押し出す(澤登)」桜吹雪がOperation Tableの空間を吹き荒らすことでしょう。
オープニング・イベント
トーク 澤登恭子×富田俊明 15:00-16:00
澤登恭子パフォーマンス 16:30-17:00
「Honey, Beauty and Tasty 」
レセプション 17:30-20:30
参加料:トーク+パフォーマンス 1,500円 レセプション+1,000円
トークは釧路在住のアーティスト富田俊明を迎え、澤登が絵を添えた富田の著『泉の話』(CCGA現代グラフィックアートセンター2001)にまつわる話題で行われます。
「Honey, Beauty and Tasty 」はレコード盤に蜂蜜を滴らせ、それを自ら舌で舐めながら回転させ、音楽を変調させていく伝説的なパフォーマンスです。1999年「取手リ・サイクリングアートプロジェクト」が初演、以降たびたび機会を替え、場所と年代につれて上演の様相も変化してきました。北九州では3回目となりますが、2013年の八万湯プロジェクト『銭湯でライブも乙なもの!?の巻』、2015年のgallery SOAP「きっとだれもが、だれかに、恋をする」展以来の実現となります。
オープニング当日は、パフォーマンス会場となるため、ギャラリーに撒かれる花びらはやや制限されますが、その後、日々数を増やし、桜ほころび花散る日々に向けて、花溜まりの広がりが変化していく予定です。
また来場者の皆さまにも花びら制作に協力していただくためにワークショップを開くことになりました。
ワークショップ「指先に花を咲かせよう」
2019年3月31日(日) 14:00-16:00
参加料:1,000円
参加者は作品のコンセプト上、女性歓迎ですが、男性、お子さまもOK。
できあがった花びらは、お持ち帰りあるいは澤登作品への参入も可。
ワークショップ終了後、澤登さんを囲んで桜の茶会あります。
このほか、会場にて澤登特製の「指先に咲く花」瓶詰めを販売します。
CASで先般行われたオークションでの価格を参考に、¥3,000でおわけしています。
春の嵐
澤登恭子
おびただしい量の桜の花びらが、突風が吹き込んできた後のように飛び散っている室内。しかしよく見ると、この花びらは全て蝋でできた指の型である。
今回の澤登恭子の個展「春の嵐」では、作家自身の指を蝋だまりに入れその蝋を剥がしてできた指の型を、あたかも展示室に風が舞い込んできて撒きちらしたかのごとく展示している。
この、一見すると花びらのような儚さを見せるこれらの指型は、女性たちの、困難を押しのけて前へ進む力を意味している。新しい風を入れて前へ突き進む、多くの女性たちの力のメタファーである。
しかし、この作品は展示する場所や時期により、しなやかに少しづつ意味を変化させて、展覧会が行われてゆく。最初に展示されたのは2003年、「散華」というタイトルで、大阪のアートペースCASで、ギャラリーの床に座りながら花びらを作りつづけるライブパフォーマンスと共に展示を行った。指先から生み出された花びらの一つ一つに鎮魂の意味を込めた。その後も、幾度か展覧会が行われ、2017年には山口県宇部市にある渡辺翁記念館の会議室でも展示されたが、炭鉱王渡辺翁の功績を記念して1937年に建てられた建物の、会議室という当時の男性社会の象徴ともいえる場所で、多くの女性たちの指で押し出す力により、あたかも花の嵐のような姿で新しい風を吹き込むというコンセプトのインスタレーションとなった。
今回、かつて動物病院であったQmacで、奇しくも新たな時代に入ろうとする直前の春、この作品は女性たちが新しい風を力強く吹き入れると共に、かつてそこで日々繰り返された小さな命の循環への、祈りと尊厳を込めたインスタレーションとなって再生される。
photos@Michiro Ota
略歴
1973 東京都生まれ 山口市在住
1998 東京藝術大学美術学部絵画科油画卒業
2000 東京藝術大学大学院美術研究科壁画研究室修了
個展
2018 「澤登恭子展 Rondeau-繰り返し見る夢の続き-」山口県旧県会議事堂 山口市
「Kyoko SAWANOBORI in 新世界」BAR新世界 山口 山口市
2012 「phantomー森の記憶」CAS(Contemporary Art and Spirit)キュレーション吉川神津夫(徳島県立近代美術館学芸員)大阪 浪速区
2007 「Ophirlia'07」CAS(Contemporary Art and Spirit)キュレーション山本雅美(東京都現代美術館学芸員)大阪 浪速区
2007 「漂う記憶」 Gallery ARTE 香川
2004 「澤登恭子個展」 RICE+ 東京
2003 「散華」CAS(Contemporary Art and Spirit)キュレーション:浅井俊裕(水戸芸術館現代美術センター学芸員)大阪 浪速区
2002~3 「I eat a peach」 水戸芸術館現代美術センター クリテリオム53 茨城 水戸市
2001 「Honey, Beauty and Tasty 」Home ロンドン
2000 「Honey, Beauty And Tasty 」CAS(Contemporary Art and Spirit)キュレーション浅井俊裕(水戸芸術館現代美術センター学芸員)大阪 浪速区
グループ展
2018「やはたアート・パフォーマンス2018 〜パレットの樹〜 EAT IT」(主催:八万湯プロジェクト)北九州イノベーションセンター 福岡 北九州市
「山口アート・アーカイヴ[YAA]2018 アーカイヴと表現」菜香亭 山口 山口市
「ABSTRACTION & FIGRATION」Galerie Grand E`terna フランス パリ
「Hachiman the Legend」さわらびガーデンモール八幡 福岡 北九州市
「山口盆地考 2018 -吹き来る風が・・」展 中原中也記念館 山口 山口市
「パイロットプラント Anniversary」展 CAS(Contemporary Art and Spirit) 大阪 浪速区
2017「歌とピアノと 現代美術の響演」秋吉台芸術村 山口 美祢
「第2回宇部現代美術展 outer scape 外茎 渡辺翁記念館 山口 宇部市
「パイロットプラント Marcel Duchamp」展 CAS(Contemporary Art and Spirit) 大阪 浪速区
2016「パイロットプラント 赤」展 CAS(Contemporary Art and Spirit) 大阪 浪速区
「やまなみ芸術祭’16」香川 観音寺
2015「パイロットプラント Paper」展 CAS(Contemporary Art and Spirit) 大阪 浪速区
「宇部現代美術展 Field of Dreams」展 ときわミュージアム 山口 宇部市
「コレクティヴ:EASY_Y Vol.1」N3ARTLab.山口 山口市
「きっと、だれもが、だれかに、恋をする」展 GallelySoap 福岡 北九州市
「空き家の種まき」展 Do a Front 山口 山口市
「Phantom in Karust」 ブルガリア国立科学博物館 ブルガリア ソフィア
2014「パイロットプラント ドローイング」展 CAS(Contemporary Art and Spirit) 大阪 浪速区
2013「GIRL COVERS:2」CAS(Contemporary Art and Spirit) 大阪 浪速区
「甕覗の鏡」 Qmac 福岡 北九州市
2012「国際カルスト会議」 ブルガリア ソフィア
「AZULー山口のアーティスト達の”青”」展 ルネッサながと 山口 長門市
「ART DOCUMENT IN YAMAGUCHI 」 YICCA 山口 山口市
2011「DABADA 」 東京、世田谷・スコットランド、エジンバラ
2010「もっと動きをー振り付け師としてのアーティスト」展 広島市現代美術館 広島 広島市
「Beyond the wallーアートで、越える」展 (企画:秋吉台国際芸術村) 山口県旧県会議事堂 山口 山口市
2009「華、踊ル」展 秋吉台国際芸術村 山口 美祢市
2007「花咲くころーモネ、ルノワールから須田悦弘、澤登恭子まで」展 アサヒビール大山崎山荘美術館 京都 乙訓郡大山崎町
2006「取手アートプロジェクト'06」TAP2006 Satellite Gallery 茨城 取手市
2005「物語の生まれる場所」ふなばし現代美術交流展'05 船橋市民ギャラリー 千葉 船橋市
「NSAD」Norwich Gallery イギリス ロンドン
「8Va」展 Gallery Arte 香川 丸亀市
2004「CAS Pilot Plant」展 現代美術製作所 東京 墨田区/CASO 大阪 浪速区
「AIT」 Super Delux 東京 港区六本木
「MEDIARENA」The Govett Brewster Art Gallery オーストラリア ニュージーランド
「縁起物ーconnection」展 Gallery Arte 香川 丸亀市
2003「アサヒ・アート・コラボレーション わたしのお宝交換プロジェクト」(主催:財団法人アサヒビール芸術文化財団)すみだリバーサイド・ホールギャラリー 東京 墨田区
2002「AIT Hour Museum」 企画:AIT 旧桜川小学校体育館 東京 港区六本木
「Sound Art Festival Zeppelin 」 Centre de Cultura Contemporaria de Barcelona スペイン バルセロナ
「ア−カス東京」展 現代美術製作所 東京 墨田区
「名古屋@port 」(企画:N-mark )愛知 名古屋
2001「Jam: Tokyo-London」展 Barbican Art center イギリス ロンドン
「Puddles」展「Honey, Beauty and Tasty」ツアー(企画:Puddles/コーディネート:mex)Künstlerhaus ドイツ ドルトムント/ Cuba Cultur ドイツ ミュンスター/ Flacc ベルギー ゲンク/ Bahtycka Galeria ポーランド ツィオナゴーラ
2000「APPLE 」 企画:N-mark 名古屋港アート創庫, ライブハウスTOKUZO 愛知 名古屋
1999「取手リ・サイクリングアートプロジェクト」茨城 取手市
コラボレーション
2003「La voiture en rose」澤登恭子+中野良寿 アサヒ・アート・コラボレーション(主催:財団法人アサヒビール芸術文化財団)東京 墨田区
2001「泉の話」富田俊明著・澤登恭子絵 CCGA現代グラフィックアートセンター 横浜トリエンナーレ 神奈川 横浜市
2000「沙子泉」澤登恭子+富田俊明、ガレリアラセン 東京 国立市
シンポジウム
2003 アサヒ・アート・フェスティバル2003参加企画 シンポジウム『社会とアート』第2回「破壊するアート」
出版
2001「泉の話』富田俊明著 澤登恭子絵 CCGA現代グラフィックアートセンター 横浜トリエンナーレ 神奈川 横浜市
アーティストトーク
2006 サバイバートカンバース016 Survivart 東京
2002 「Artist meets you 」アサヒビール本社 プレゼンルーム 後援:アサヒビール 東京 墨田区 茨城大学 茨城 水戸市
2000 澤登恭子 VS 浅井俊裕(水戸芸術館現代美術センター学芸員)CAS(Contemporary Art and Spirits) 大阪 浪速区
ア−ティスト イン レジデンス
2001~2 ア−カスプロジェクト 茨城 取手市
助成金
2001 ア−カスプロジェクト 茨城県
Japan U.K. Foundation 2001
グレイトブリテン笹川 財団
【協力:N3 ART Lab】
「指先の花」が舞う「春の嵐」
小勝禮子
残念ながらギャラリーの庭の黄色いミモザの花は盛りを過ぎてしまっていたが、桜にはまだ少し早かった3月の下旬、久方ぶりに訪れたOperation Tableで「澤登恭子 春の嵐」展を見る。扉を開けてすぐ左手の木製テーブルの上のLPレコード用のターンテーブルがまず目を引くが、これが初日のパフォーマンス《Honey, Beauty and Tasty》に使われたものだとは、隣の展示室をざっと見てから奥のソファのある部屋で優雅な桜茶をいただきながら、そのパフォーマンスの記録映像を見て初めてわかった。《Honey, Beauty and Tasty》とは、澤登の東京藝術大学大学院の修了制作であり、取手とCAS大阪での発表ののち、2001年ロンドンのバービカン・アートギャラリー「Jam: Tokyo- London」展のオープニング・パフォーマンスを皮切りに、バルセロナ、ドイツ各都市、ベルギー、ポーランドに至るパフォーマンス・ツアーに参加することになる、言ってみれば澤登恭子を作家たらしめることになった記念的なパフォーマンス作品だったのである。
今回のOperation Tableでのオープニング・パフォーマンスは、初演である1999年iから20年の時を経た何度目かの再演だったわけだが、回転するLPレコードの上に点滴容器から蜂蜜を滴らせ続け、澤登自身がそのレコード面の蜂蜜を舐め続けるというパフォーマンスの基本構造はなんら変わっていない。CAS大阪のとき(2000年)はプレーヤーiiが複数台置かれていたようだがiii。蜂蜜Honeyを舐めるという行為Tastyを続けるBeauty(美女)たるパフォーマー、澤登の身体が20年の時の経過を経ており、幾度かの再演を経て舐める行為が熟練の度を増しているという違いはあるのだろうが、残念ながら私は初演時(の映像)を見る機会がなかったので両者の比較はできない。しかし舐めても舐め切れない盤上の蜂蜜を舐め続ける澤登の舌が押すことで、レコードの回転数が落ちて微妙に歪んでいく音楽を効果音として、一心に蜜を舐め続ける女というこの作品から、「何を連想するかは、各々の想像力にかかっている。」ivのは確かだろう。そしてパフォーマーが一心不乱に舐めれば舐めるほど、それを見る観客たちは他人の濃厚な性行為に立ち会っているような居心地の悪さを感じさせられるのもまた澤登の意図するところであるに違いない。
それは長い間、洋の東西を問わず美術の歴史の中で一方的に見られる存在であった女性(描かれる者)が、見ることによって相手を支配する男性(描く者)に対して、ふてぶてしくも挑発するような態度を示していることに他ならない。これは見られる者が表現者として主体性を持ちうるパフォーマンスだからこそできる行為であり、「男性/女性」の間の「見る/見られる」の権力関係を固定化するようなジェンダー概念を撹乱する作品であるのは間違いないv。
さらにそのターンテーブルを載せるテーブルや床、隣室の元・動物病院の手術室であったギャラリー内の小さい手術台や器具を置くワゴン、薬品戸棚、洗面台などいたるところに、夥しい花びらもしくは桜貝のようにも見えるピンクの薄い剥片が堆積しているのだが、それらは《散華》と題して2003年大阪のアートスペースCASの個展で最初に展示されたもので、これは続いて《指先に咲く花》と題して2006年取手アートプロジェクトで発表され、さらに2007年大山崎山荘美術館や2017年の「第2回宇部現代美術展 outer space 外茎」でも制作、展示された。今展を企画したOperation Tableのディレクター、真武真喜子は、第2回宇部現代美術展での澤登の渡辺翁記念館でのインスタレーションを評して、「男性原理と権力の象徴であるかの威厳に満ちたその部屋を、澤登は花の嵐で吹き飛ばしたのだった。」viと書いている。
これらの夥しいピンクの剥片は、実際は澤登が溶けた蝋に指を浸し、そのあとで固まった蝋を剥がして作ったものだった。熱い蝋に指を浸す痛みとそれを何百回と繰り返す労苦の果てに、この世ならぬ美しさのピンクの花びらは作られた。儚そうに見えるピンクの花弁は「女性性」を象徴するようにも見え、その美しさは視覚の快楽を呼び起こす。しかしその美の裏側には、痛みや果てしない労働が隠されている。そして1枚1枚の花弁こそが、女性である作者の身体の痕跡であり、脱ぎ捨てられた皮膚のようでもある。「指先に咲く花」が訴えかけるのも、こうした痛みを伴って産み出す者である女性の身体と、女性に課された倦むことのない労働を象徴的に表現するものでもあろうvii。そうした言わば痛苦を宿した美である「花々」が満たすのが、かつて小動物たちの生と死をめぐる現場でもあった「手術台Operation Table」であるのも、生きとし生けるものへの祈りの捧げものとしてのインスタレーションのようにも見える。作者自身はさらに力を込めて、本展ウェブサイトで、これらの指型は「女性たちの、困難を押しのけて前へ進む力」を意味し、「新しい風を入れて前へ突き進む、多くの女性たちの力のメタファーである」と書き、本展を《春の嵐》と題している。
ところでこのような「女性性」をテーマとして制作を続ける女性アーティストは日本には多くはないviii。澤登恭子はなぜこうしたテーマにこだわり続けるのだろうか。作者の公式ウェブサイトによれば、澤登は函嶺白百合学園というカトリック系の女子校で中学・高校と学び、その後聖心女子専門学校で保育を学んだ後、東京藝大絵画科油画専攻に転じてアーティストになった。箱根の強羅という自然豊かだが都会から隔離された環境で受けたミッション系の女子教育や厳格な校則、可愛いセーラー服の制服に投げかけられる男性の視線など、外部から押し付けられる女子校生(女性)像に対して、澤登自身の体験から違和感や抑圧を感じざるを得なかったのではないかと想像する。
もちろんこのような経歴の女性がみなアーティストにな(れ)るわけではない。表現するメディアとしてのアートを手に入れた澤登恭子は、今後さらに「女性の」表現を追求していくだろう。社会と切り結ぶ澤登恭子のアートに心からエールを送りたい。
(美術史・美術批評)
_____________________________________________________________________________________________
i 取手アートプロジェクトのオープンスタジオでの修了制作のプレ・パフォーマンスとして、1999年12月に初めて公開された。澤登恭子氏のご教示による。
ii 本来はDJ用のターンテーブルを使用するものだが、予算の関係でこのときはレコード・プレーヤーで代用された。澤登恭子氏のご教示による。
iii 浅井俊裕「HONEY, BEAUTY AND TASTY」、CAS企画展 澤登恭子展、2000年4月21日(金)~6月10日(土)http://paper.cup.com/cas/sawa/index.html?fbclid=IwAR3eMm6mX7zFKug74OIjyi_8xFfeUxykxCL0u-iJiym5eFH_h89WSxzGRek
iv 浅井俊裕、前掲文。
v 同じことを山本雅美も指摘している。山本雅美「指先に咲いた花のゆくえ」、取手アートプロジェクト2006サテライトギャラリー、https://toride-ap.gr.jp/sg/past/9/sawa_2.html?fbclid=IwAR1wfWVlSoPFUuc_sqi6_bHb-JCRLhq2KMO_8kNSyXLLEFH6tkOSjqh_2G0
美術史における視線の権力関係については以下を参照。グリゼルダ・ポロック、萩原弘子訳『視線と差異 フェミニズムで読む美術史』新水社、1998年。若桑みどり『隠された視線 浮世絵・洋画の女性裸体像』岩波書店、1997年。
vi 真武真喜子「宇部の音楽ホールに響く六重奏」、宇部現代美術展実行委員会編、2019年5月刊行予定。真武氏のご厚意により閲覧。
vii 山本雅美もまた澤登恭子の本作品を「女性の表現」という視点から批評している。山本雅美、前掲論文。
viii 指導するのが男性教員に偏るという日本の美術大学のジェンダー格差もその要因の一つだろう。
澤登恭子さんの作品に関する批評の情報をまとめて提供してくださった真武真喜子さんと、筆者の質問にお答えいただいた澤登恭子さんに感謝致します。